前回は債権回収の方法として、担保の基礎知識をご説明しましたが、今回はいよいよ債務者が危ないのではないか?という状態になった場合の具体的な債権回収の方策です。
1、債権回収方法の分類
債務者が期日に支払えなくなった、などは一番分かりやすい信用不安の顕在化です。
お金を返してくれなくなる、払ってくれなくなる可能性が出始めたら債権回収の活動開始です。
信用不安が顕在化すると、時間の経過とともに債務者の資力は劣化します。それはそうですよね。債権回収の活動を一斉に取引先が開始するのですから。
ですので、債務者の信用情報を早めに収集するとともに、債権回収は迅速に行いましょう。
回収方法は、下記の①~④です。
①事実上の回収
②担保権に基づく回収
③強制執行に基づく回収
④倒産手続参加による回収
2、事実上の回収とは?
債権回収の際、法的手続きを取ると、時間やお金がかかります。
裁判上の手続外で、簡単で安価な回収手段をここでは事実上の回収と呼びます。
まず、債務者が保管している商品を引上げて、債務の弁済にあてます。典型的なものは、貴社が販売した商品を引上げる方法 があげられます。
しかし、その商品の占有権、所有権はあくまで債務者側にあるので、債務者の意思に反して行うと損害賠償を請求されることや窃盗などの刑事事件となる可能性もあるので引き上げを行う際は、債務者から引き上げを承諾する書面を取るなど、債務者が任意に渡したかたちを取ることが必要です。
「あーー、金はないからそこらへんのものを持っていってくれ」と債務者が言えばしめたものです。
取引先には売掛もあるが買掛もある、というような場合にはこれを相殺する方法もあります。この場合の注意点は、貴社の支払期限が債務者の支払期限より先に来ていることです。そして、契約書には信用不安を疑わせる一定の事由(不渡り、支払の遅延)が発生した場合に、期限の利益を喪失させる特約を盛り込みましょう。
3、担保権に基づく回収とは?
ここでは、下記①~②の抵当権等の物的担保でご説明します。
①法定の担保権実行手続による回収(差押え・競売)
②担保権設定者の協力を得て、担保目的物を任意に処分しその処分代金から回収
①に比べて高価に処分できることが多いので可能であれば②の方法が取りたいところですが、法律関係が複雑な場合は債務者間の利害関係を公平に処理するために①によって裁判所の関与が必要になる場合があります。
いずれにしても、担保目的物の処理は複雑な利害関係が絡み、法的判断が必要とされるので弁護士などの専門家に相談する方が妥当でしょう。
4、強制執行に基づく回収とは?
裁判所に対して、債権の支払を求めて訴訟を提起し勝訴したら、債務者の財産に対して強制執行をかけていく方法です。
債務者だけではなく、保証人に対して訴訟提起をする事もありえます。
しかし、皆さんご存知のように訴訟提起の準備は労力も時間も必要です。債務者に財産がなければ、勝訴しても強制執行は空振りで債権回収の目的は達せません。弁護士などとよく相談して、慎重に判断してください。
5、倒産手続参加による回収とは?
債務者が破産や民事再生などの法的な倒産手続きに入った場合には、法律の手続きに則って、債権額に応じて按分弁済を受けることになります。この場合には、おおよそ数パーセントの配当(分け前)で終わってしまうことが多いので、回収できなかった債権額は税務上の損金処理としなければならないケースも多々あります。
3回にわたって、債権回収をご案内してきました。
「そんな事、知っているよ」と皆さんがおっしゃるような内容ばかりです。
でも、皆さん、実行していますか?
当社にご相談される社長様は皆さん「あそこは大丈夫」「長年の付き合い」「代々の土地がある」などとおっしゃっています。
そのご判断は正しいのですが、今回ご案内したことも付け加えてみてください。
この不況の時期、売上を伸ばすことに腐心されていらっしゃることと思いますが、守りの部分も見直してみてください。




